13兆円の損害賠償に思う

先日、東京電力の経営陣に13兆円の損害賠償を認める判決が東京地裁で出されました。また、この部分については。仮執行も認められています。

13兆円という金額、1人当たりにしても3兆円を超える金額です。当然払い切れる金額ではありません。このような賠償命令が出るということをどう考えるべきでしょうか?

払い切れなければ自己破産することになるのでしょうが、結局損害を受けたものに対する賠償は行われないことになります。

可能性が小さいとは言え巨大な負担を想定しなければならない行為は、現実にその負担が必要になった場合には負担しきれません。そのような行為は、現在の株式会社の制度の中では認めてはならないものだと思います。今回は個人に対する責任でしたが、企業であっても13兆円を賠償できる企業はそうないでしょう。

資本主義社会における株式会社の取るべき責任は有限であり、会社が解散してしまえば責任を取ることはできません。

国営企業であれば最終的責任は国が取ることになり、無制限に責任を負うことも制度的には可能になります。

しかし、国営企業が無制限に責任を取るといっても、現実にできないことを実行させることはできません。例えば、自然界に漏れだした放射性廃棄物の回収は技術的に困難でしょう。

原発から漏れだした廃棄物の回収について
①株式会社は金額的に困難
②国営企業であっても技術的に困難

結局、原子力発電は人間社会が扱ってはならない技術であると思います。今回の東京地裁判決は、その事を示していると思います。

それとともに今回の判決は、巨大化した技術を株式会社という枠の中で運用することは困難であるという制度的限界を示していると思います。

その意味で、株式会社により経済活動を行う資本主義社会の、制度的限界を示していると思います。
関連記事